新卒や中途入社の新人が定着しない職場の特徴と定着率を高めるポイント
新人が定着せず、どんどんやめてしまう職場は、採用や教育にかかるコストが増えるだけでなく、現場の負担も大きくなり、さらなる離職を招く悪循環に陥ります。新人の定着は、本人の資質だけで決まるものではありません。業務体制や上司・先輩との関わり方、配属先など、職場側の環境に大きく左右されるため注意が必要です。
この記事では、新人が定着しない職場に共通する特徴や離職率の実態のほか、新人の定着率を高めるための具体的な改善策について解説します。
この記事でわかること
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1 新人が定着しない職場の特徴と、やめる理由
新人が定着しない職場は「長時間労働や残業が多い」「人間関係が悪い」「入社前後のギャップが大きい」「仕事が明確でない」など、職場環境・制度・文化の面で共通する特徴があります。 -
2 新人が定着しない職場で起きる問題
新人の早期離職が続くと「現場の負担増加」「採用・教育コストの増加」「企業イメージの低下」といった問題が発生します。 -
3 定着率を高める採用・育成・制度の改善策
入社後の研修・教育を効率化するために、理解しやすい業務のマニュアル作成や進捗確認が簡単にできる業務管理ツールの導入がおすすめです。「best job」の詳細をご確認ください。
目次
新人の退職理由から見る、人材が定着しない職場の特徴
新人が定着せず、すぐにやめてしまう職場には、職場環境・制度・文化の面で共通するパターンがあります。厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」によると、若年労働者(15~34歳)が「初めて勤務した会社」をやめた主な理由は下記のとおりです。
■初めて勤務した会社をやめた主な理由(3つまでの複数回答)2023年調査分

参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」をもとに上位10項目の回答のみ抜粋して作成
ここでは、この調査の退職理由をもとに、新人が定着しにくい職場の特徴を解説します。
長時間労働や残業が多い
厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」によると、若年労働者が初めて勤務した会社をやめた理由として「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」と回答した人は、28.5%と最も多い結果となりました。
残業が常態化していたり、休日が希望通りにとれなかったりする職場では、プライベートの時間が確保できず、疲れやストレスが溜まりやすくなります。その結果、新人の早期離職につながることがわかります。
長時間労働について、詳しくはこちらをご確認ください。
長時間労働の解決策は?残業時間を減らす取り組みや対策を解説
人間関係が悪い
厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」では、若年労働者が初めて勤務した会社をやめた理由として、「人間関係がよくなかった」と回答した人は26.4%と、退職理由の中でも2番目に多い結果となりました。
新人は社内で人間関係を築けていないことが多く、上司や先輩との相性が悪かったり、同僚同士の対立や派閥があったりするような職場では、新人は安心して働くことができません。人間関係が良くないとは仲がいいとか悪いでなく仕事のコミュニケーションが取れないということです。
人間関係の不和はハラスメントも起きやすく、「見えないコスト」として組織に深刻な影響を与えます。
入社前と後でギャップがある
厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」では、若年労働者が初めて勤務した会社をやめた理由として、「賃金の条件がよくなかった」が3番目に多い21.8%、「仕事が自分に合わない」が4番目に多い21.7%と、入社後のギャップに関する理由も上位に挙げられています。
「仕事が明確でない」「給与や賞与、福利厚生などの待遇面でズレがある」「業務内容や配属先が希望と異なる」などの場合、新人は不満や不信感を抱きやすくなることがわかります。
こうしたミスマッチを防ぐためには、採用時に正確な情報を伝え、過度な期待を持たせないことが重要です。
早い時期から即戦力として見られる
厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」では、若年労働者が初めて勤務した会社をやめた理由として、「ノルマや責任が重すぎた」と回答した人は15.2%で5番目に多い回答となりました。
近年は人手不足の影響もあり、新人であっても即戦力として扱われる職場も増えています。しかし、十分な研修や教育が行われないまま、高い目標や責任の重い業務を任されると、プレッシャーが大きくなり、早期離職につながりやすくなります。
会社の将来性やビジョンが明確でない
厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」によると、若年労働者が初めて勤務した会社をやめた理由として、「会社の将来性がない」と感じてやめたケースも11.5%あり、7番目に多い回答でした。
新人は企業や業界の将来性に不安を感じると、自身のキャリアを長期的に描きにくくなります。また、自身の成長ビジョンやキャリアの方向性が共有されていない場合、自分の仕事の意味や価値を見出しにくくなることもあるでしょう。
そのため、企業としては将来の方向性や新人の育成プランを明確に示し、新人が安心して働き続けられる環境を整えることが重要です。
新入社員の離職率はどのくらい?
新入社員の離職率が多いといわれていますが、実際にはどの程度なのでしょうか。ここからは、就職後3年以内の離職率を学歴別・事業所規模別・産業別に見ていきましょう。
学歴別の離職率
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」によると、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は下記のとおりです。
<新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率>
- 中学:54.1%
- 高校:37.9%
- 短大等44.5%
- 大学:33.8%
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
大卒と高卒では約3人に1人、短大等卒と中卒では約2人に1人が、入社から3年以内に離職している計算になります。学歴によって差はあるものの、いずれの層でも定着の難しさがうかがえます。
事業所規模別の離職率
事業所の規模によっても、離職率には差があります。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」によると、事業所規模別の就職後3年以内の離職率は下記のとおりです。
■新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率
| 事業所規模 | 高校 | 大学 |
|---|---|---|
| 5人未満 | 63.2% | 57.5% |
| 5~29人 | 54.6% | 52.0% |
| 30~99人 | 45.2% | 41.9% |
| 100~499人 | 36.7% | 33.9% |
| 500~999人 | 29.9% | 31.5% |
| 1,000人以上 | 26.3% | 27.0% |
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
上記のとおり、従業員数が少ない企業ほど離職率が高く、5人未満の企業では約6割にのぼりますが、1,000人以上の企業では3割弱にとどまっており、両者の間には大きな開きがあります。
離職率が高くなりやすい中小企業ほど、受け入れ体制や業務設計を丁寧に整える必要があるといえます。
産業別の離職率
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」によると、産業別の就職後3年以内の離職率は下記のとおりです。
■新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち、離職率の高い上位5産業
| 業種 | 高校 | 大学 |
|---|---|---|
| 宿泊業、飲食サービス業 | 64.7% | 55.4% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 61.5% | 54.7% |
| 教育、学習支援業 | 53.6% | 44.2% |
| 医療、福祉 | 49.2% | 40.8% |
| 小売業 | 48.3% | 40.4% |
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
「宿泊業・飲食サービス業」が高卒64.7%、大卒55.4%と最も高く、次いで「生活関連サービス業・娯楽業」「教育・学習支援業」となっています。
上記の業界は、労働時間や業務負荷、人手不足といった課題を抱えているケースが多く、それが離職率の高さにつながっていると考えられます。
新人が定着しない職場で起きる問題
新人が定着しない職場では、人材不足だけでなく、組織全体にさまざまな悪影響が生じます。ここでは、代表的な問題について解説します。
■新人が定着しない職場と起きる悪循環

離職が連鎖して現場の負担が増える
新人の早期離職が続くと、その都度、配置の見直しや採用・教育のやり直しが発生し、現場の負担が増加します。
特に教育担当者は、新人が入るたびに同じ説明をする必要があり、「せっかく教えても、どうせやめてしまう」とモチベーションが落ちて指導の質も低下しやすくなるでしょう。その結果、新たに入社した新人が十分なサポートを受けられず、さらに離職が続くという悪循環に陥ってしまいます。
離職が続くことは、生産性の低下だけでなく、職場全体のモチベーション低下にもつながります。
採用・教育コストが膨らむ
新人が早期に離職すると、採用費や研修費、OJTにかかる人件費など、「見えるコスト」だけでも企業にとって大きな損失になります。
厚生労働省の「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」によると、民間職業紹介事業者を利用した採用1件あたりの平均コストは85.1万円とされています。これに加えて、教育や研修にかかるコストも発生するため、1人の離職によって100万円近い損失になるケースも少なくありません。
新人が定着せず、新たに採用を行う場合は、100万円近いコストが再び発生するため、離職が続くほど企業の負担は増大していきます。
企業イメージが悪くなる
新人の離職率が高い職場は、採用面だけでなく、企業の信頼やブランドイメージにも悪影響を及ぼし、長期的な機会損失につながるリスクがあります。
例えば、口コミサイトやSNSなどを通じて「新人がすぐにやめる会社」という印象が広まると、求職者から敬遠される可能性があるでしょう。
また、離職者が続いて担当者が頻繁に入れ替われば、取引先にも不安を与えかねません。
新人の定着率を上げるための改善策
新人の定着率を高めるためには、採用から入社後のフォロー、社内制度の整備まで、各段階での対策が重要です。ここでは、「採用時」「入社以降」「社内制度」の具体的な改善策を解説します。
■定着率を高める3つの改善ポイント

採用時の改善策
新入社員の定着率を上げるためには、採用段階でのミスマッチを防ぐことが最も重要です。優秀な人材であっても、自社の文化や働き方に合わなければ、定着しにくくなります。
そのため、採用工程では下記のような改善策を実施するといいでしょう。
■採用時の改善策
| 改善策 | 詳細 |
|---|---|
| 自社との相性をチェックする | 採用時にはスキルや経験だけでなく、自社の価値観やキャリア設計と一致しているかを確認する |
| 採用時に職場環境やキャリアパスを見せる | Webサイトの充実や学生のインターンシップ・職場見学を導入し、入社前に実際の現場を体験し、どのような成長ができるのかをイメージしてもらう機会を設ける |
| いい面だけでなく大変な面も正確に伝える | 教育体制や労働環境、福利厚生など、正確な情報を伝える |
また、自社で長く活躍しているベテラン社員に共通する特性を分析し、採用基準に反映することも有効です。求める人材像と長く働ける人材像を明確にすることで、選考の精度が高まり、入社後のミスマッチを減らすことにつながります。
入社以降の改善策
入社後の初期対応は、新入社員の定着に大きく影響します。下記のようなオリエンテーションや研修を通じて、自社の文化や将来性を伝え、職場になじむための機会をつくりましょう。
■入社時の改善策
| 改善策 | 詳細 |
|---|---|
| オンボーディングを行う | 会社のビジョンや社内規則がわかるオリエンテーションを実施する |
| 研修・教育体制を整える | 教育担当者を必ず設け、基本的なビジネスマナー、業務手順など必要に応じてマニュアルを使って丁寧に教育する |
| 具体的な業務指示体制を整える | 「誰が・いつまでに・何をするのか」を明確に伝え、業務の優先順位や相談先も共有する。チェックシートや業務マニュアルを活用し、新入社員が迷わず行動できる状態を作る |
| 定期的に1on1を行う | 最初は1、2週間ごとに行い、業務の進捗だけでなく、負荷・人間関係・期待値のズレなどを確認する |
| 社内になじめる機会を作る | 歓迎会や懇親会、チームビルディング活動で、ほかの社員と接点を作る機会を増やす。ただし、無理強いは禁物 |
特に、新人は不安や違和感を抱えても誰に相談していいかもわからないため、定期面談の場を制度としてもうけることが重要です。あらかじめ実施頻度や担当者、記録方法を決めて運用を標準化すると、上司だけに依存しない、組織全体で新人を支える体制を構築できます。
社内制度の改善策
社内制度の整備も、新人の定着率を左右する重要な要素です。長時間労働や過度なノルマがある環境では、心身に大きな負担がかかり、離職につながりやすくなります。
そのため、下記のような社内制度の改善を行うことをおすすめします。
■社内制度の改善策
| 改善策 | 詳細 |
|---|---|
| 労働環境の見直し | 社内全体で残業時間や休日出勤の実態を把握し、業務量の調整や有給休暇の取得推奨を進め、ワークライフバランスを確保できるようにする |
| 新人への業務負荷を調整する | 新人に過度なノルマや責任を課さず、キャパシティを考慮して段階的に業務を任せる |
| 評価制度の透明性を高める | 評価基準や昇進ルールを明文化し、新人が「何をすべきか」そして「何をがんばれば評価されるか」を理解できるようにする |
| 定着率をKPIとして管理する | 数値を月次・四半期単位でチェックし、PDCAを回す仕組みを整える |
| 業務管理ツールを導入する | 新人向けのマニュアル作成や日報作成が簡単。勤怠で業務・勤務状況の変化を把握できる管理ツールを導入すると管理側の負担も軽くなる |
業務管理ツールを導入すれば、業務の見える化や進捗管理、勤怠管理がしやすくなり、新人側と管理側双方の負担軽減につながります。
新人教育の研修体制やフォロー体制を整えるなら「best job」
新人が定着しない職場には「人間関係が悪い」「相談しづらい」「ノルマや責任が重い」といった共通の課題があります。こうした課題を解決するためには、研修体制やフォロー体制を整える必要があります。
業務管理ツール「best job」を活用すれば、「Dルール(デジタルルール)」機能により新人教育に必要な研修・業務マニュアルやチェックシートをデジタルで簡単に作成・共有可能です。教育担当者による教え方のばらつきを防ぎ、誰でもわかりやすい形ですべての業務を三分析整理(特許取得済)により標準化できるため、新人でもスムーズに業務が進行できます。
また、「はっとメモ」機能を使えば、新入社員が気づいたことや疑問点をすぐに記録・共有できるため、質問や相談のハードルを下げ、上司や先輩がフォローをしやすくなります。
■「best job」のマニュアル作成画面

■Todoのチェックシート機能


さらに、「いつでもエピソード」機能では、日々の出来事や感情を記録でき、状況に応じて上司や相談窓口に共有できます。いじめやハラスメントの早期発見やメンタルヘルスの把握にも役立ちます。
■いつでもエピソード画面

加えて、「日報管理機能」や「勤怠管理機能」も備えており、遅刻や欠勤の増加、業務の進捗停滞など、新人の変化を把握しやすくなります。こうした兆候を早期に捉えることで、離職を未然に防ぐ対応につなげることができます。
新人教育から日々のフォローまでを一元的に支援し、定着率向上に貢献する業務管理ツール「best job」をぜひご検討ください。
■「best job」の概要

よくあるご質問
新人が定着しない職場の特徴は?
新人が定着しない職場には、「長時間労働や残業が多い」「人間関係が悪い」「入社前と後でギャップがある」「早い時期から即戦力として見られる」などの特徴があります。特に人間関係の不和はハラスメントも起きやすく、「見えないコスト」として組織に深刻な影響を与える点にも注意が必要です。
新人の定着率を上げるための対策は?
新人の定着率を上げるためには、採用時・入社後・社内制度の3段階で対策を行うことが重要です。採用時はミスマッチ防止、入社後は研修や1on1によるフォローや具体的な業務指示、社内制度では労働環境の改善や評価基準の明確化などを行うと、離職防止につながります。
新人の離職率は?
新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」によると、下記のとおりです。
<新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率>
- 中学:54.1%
- 高校:37.9%
- 短大等44.5%
- 大学:33.8%
【監修者】
奥山惠一
株式会社/社会保険労務士法人 日本労務研究所 代表
厚生労働省認可 総合経営管理協会 理事長
- 特定社会保険労務士
- 標準化アドバイザー
- メンタルヘルス管理士
- 運行管理者
- 健康経営アドバイザー
1975年に社会保険労務士資格を取得。東京都社会保険労務士会新宿支部長などの役職を歴任。企業の労務管理に関するコンサルティング・支援業務を行うほか、書籍の出版やセミナー、大学校等での講師活動を継続的に行っている。
著書に『労務トラブルの防ぎ方、まさかのときの解決法』(以上明日香出版社・共著)、『経営労務監査の手法』(中央経済社・共著)、『就業規則サンプル・ルール』(労働新聞社・共著)、『職場のコミュニケーション改善の処方箋』(日本法令・共著)などがある。
